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メリーさん [ブック]




夏といったら…
夏フェス
いえいえ、そんな時代遅れで、むさくるしい悪趣味はいい加減終わりにしないといけません
「ラヴ・アンド・ピース」などと唱える者がいたら、共謀罪で徹底的に弾圧しないといけません(笑)

今どきのナウでヤングな若人たちは、エアコンでガンガン冷やした屋内でクールに読書
そのためには、本屋さんが仕掛けるフェアが頼りになります
そう、やっと言いたかったことにたどり着きました(笑)

夏といったら、夏フェアです

今年もミニ冊子をいくつかいただいてきました
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「新潮文庫の100冊 2017」
(あれれ、そういえばYondaパンダは、いつの間にやら絶滅してしまったのですね)
「カドフェス 2017 発見!角川文庫」
「ナツイチ 40th 集英社文庫」
カラフルでポップなミニ冊子は、学生さんたちの心をキャッチする効果抜群でしょう

…なのに、1部だけ白黒で地味な小冊子が置いてあって、それも一緒に持ち帰って来ましたが
改めて見てみたら、これでした

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澁澤龍彦 ブックガイド
没後30年、奇才はよみがえる

これは、夏フェアとは関係なく、5月にKAWADE夢ムック文藝別冊として「澁澤龍彦ふたたび」が刊行された時に配布されたプロモ用小冊子の残部だったようです

中で紹介されているのは、
悪徳の栄え(上下巻)
黒魔術の手帖
神聖受胎
毒薬の手帖
世界悪女物語
エロスの解剖
秘密結社の手帖
異端の肖像
ヨーロッパの乳房
胡桃の中の世界
東西不思議物語
唐草物語
の12作品13冊(すべて河出文庫)

そのうち私が持っているのは、
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9作品10冊でした
「エロスの解剖」は未購入ですが、代わりに「エロス的人間」(中公文庫)は持ってます
「唐草物語」も未購入ですが、「玩物草紙」(中公文庫)は持ってます
「ヨーロッパの乳房」も未購入でちょっと悔しいので、このブックガイドに掲載されている紹介文を読んで、読んだつもりになっちゃいましょう(笑)

1970年、澁澤ははじめてヨーロッパへ旅行する。この旅行は60年代の孤高の闘いを『澁澤龍彦集成』として封印した澁澤が新たな次元を開く画期となったことは澁澤に親しい書き手たちがこぞって証言しており、ここから澁澤は60年代の暗黒から70年代の天国への飛翔を開始する。この輝かしくも重要な旅の記録がその名も『ヨーロッパの乳房』と題された本書である。しかし普通の西欧人よりははるかに書物でヨーロッパの深みを知り尽くした「予備知識過剰のこの旅人」(多田智満子)の旅がただの見聞ですむはずもない。書物と現実、想像と詩情の稀有なる融合がここに実現する。たとえばスペインでゴヤを論じたエッセイはこんな一節で締めくくられる。「バーでシェリー酒を飲むと、おつまみにオリーヴが出てくるが、そのオリーヴの実のつやつやと大きいこと、私は思わず感嘆して、「ヘラクレスの睾丸のように張り切っているな!」とつぶやいたことであった」。あるいは庭園をめぐるこんな一節、「人類の考えだした「庭」という観念の原形が、このアンダルシアの青空の下の、緑の植物と水の流れにおおわれた、小さなタイル張りの中庭にあるような気がしているのだ」。

さて…
夏休みときたら読書感想文ですが、小中学生が澁澤作品をその対象にするのは、お勧めしません(笑)
でも、「東西不思議物語」ならおそらく読むことは可能でしょう
「世界悪女物語」になるとちょっと厳しくなりますが、その簡易ヴァージョンである「女のエピソード」(最初は大和文庫、続いて河出文庫)なら大丈夫だと思います

ブックガイドの末尾には、至れり尽くせり、〈試し読み〉も用意されています

メリーさん
べつに私の家は洋風の生活をしているわけではなかったが、小学校へ入学するより以前、私はいつも昼食にはパンを食べていた。どこの家庭でも、昼食にはパンを食べるものと信じこんでいた。
食事時になると、食卓の上にバターやジャムや、コンデンス・ミルクの罐が、私にはどうにも気になって仕方がなかった。
それはメリー・ミルクという登録商標で、罐のレッテルに、エプロンをかけた女の子が片手に罐をかかえている姿が描かれている。罐のなかに、メリー・ミルクの罐がある。もちろん、この罐のなかのミルクの罐のレッテルにも、同じ女の子が同じ罐をかかえ、その罐のなかに同じメリー・ミルクの罐がはいっている絵が描かれているわけで、以下同様であり、どこまで行っても切りがない。二枚の鏡を向き合わせたように、イメージはどこまでも小さくなるばかりで、無限に繰り返されるのだ。
この目の前のテーブルの上のミルクの罐のレッテルに、小さな小さなメリーさんが無限に連続して畳みこまれているのかと思うと、私は何か、深淵に吸いこまれてゆくような気がしたものであった。私はしばしば食事を忘れて、じっとメリーさんを見つめることがあった。
「反対日の丸」(『玩物草紙』より)

このお試し文も小中学生OKでしょう
「深淵に吸いこまれてゆくような気」を感じ取れるかは微妙ですが

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今日の1曲
ジーザス&メリー・チェイン(通称ジザメリ)です
You Trip Me Up 「ユー・トリップ・ミー・アップ」/ The Jesus And Mary Chain 1985年
https://www.youtube.com/watch?v=zK2nJWNgZBA
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21シングルズ:ザ・ベスト・オブ

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閉ざされた城の中で語る英吉利人


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コメント 2

sknys

「澁澤龍彦ブックガイド」は未入手ですが、
「澁澤龍彦ふたたび」(河出書房新社 2017)を今読んでいます。
「澁澤龍彦没後30年記念企画」として全国の書店で澁澤文庫フェアを開催。
『極楽鳥とカタツムリ』『バビロンの架空園』というオリジナル・アンソロジー(表紙カヴァは安野モヨコ)も刊行。
10月7日から世田谷文学館で「澁澤龍彦 ドラコニアの地平」展が始まるそうです。
http://web.kawade.co.jp/bungei/1459/
by sknys (2017-07-31 21:52) 

モバサム41

sknysさん、コメントありがとうございます
勉強熱心なので、「澁澤龍彦ふたたび」を読んでいるのではないかと思っていました(笑)
安野モヨコは、どうもしっくり来ないなあ
by モバサム41 (2017-08-07 00:45) 

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