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破壊しに、と彼女は言う [ブック]




訃報です(1日付朝日新聞から)

ジャンヌ・モローさん死去
仏女優、ヌーベルバーグの象徴
フランス映画界を代表する女優であるジャンヌ・モローさんがパリの自宅で死去した。89歳だった。AFP通信によると、代理人が31日、明らかにした。
1928年パリ生まれ。まだ20代半ばだったルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」(58年)に主演。愛人とともに夫を亡きものにしようとする社長夫人を演じた。この作品はマイルス・デイビスのジャズを使うなど斬新な手法が当時の観客を驚かせ、フランスの若手監督による“ヌーベルバーグ”の先陣を切ることになった。
マル監督とは「恋人たち」「鬼火」「ビバ!マリア」でコンビを組む。62年、フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」では、男性2人の間で揺れ動く女性の魅力を伸びやかに表現。知性と品格を兼ね備えたヌーベルバーグを代表する女優の一人に数えられた。
スペイン出身のルイス・ブニュエル監督や米国のオーソン・ウェルズ監督など、海外の巨匠たちの作品にも出演。「雨のしのび逢い」では、60年のカンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受けた。70年代には監督業にも進出。「ジャンヌ・モローの思春期」などを手がけた。
熟年になってからはリュック・ベッソン監督「ニキータ」などで助演。「デュラス 愛の最終章」では、作家のマルグリット・デュラスを演じた。「クロワッサンで朝食を」(12年)では、気難しい金持ちの老女を演じて日本でもヒットした。代表作はほかに「エヴァの匂い」「黒衣の花嫁」など。

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謹んでご冥福をお祈り申しあげます

…で、すみません
同じネタで何度もやらせてもらいます

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雨のしのび逢い 1960年

ジャンヌ・モローが最優秀女優賞を受賞した作品にケチをつけるつもりはありませんが、残念なのはやはりこの邦題
おそらく、原題じゃ意味わかんねえよということで代替措置が講じられたのでしょうが、その結果、まるで昭和のムード歌謡のようなタイトルになってしまいました

実は、原作はこの作品でした
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モデラート・カンタービレ 河出文庫
自分の所属している社会からの脱出を漠然と願っている人妻アンヌ。偶然目撃した情痴殺人事件の現場。酒場で知り合った男性ショーヴァンとの会話は事件をなぞって展開し、アンヌは情熱を、脱出への期待をしだいに意識化していく……。「フランスの最も美しい古典的作品」、「カミュの『異邦人』やブランショの『死の宣告』と共に、小説のジャンルに新しい生命を吹きこむ」と評された珠玉の名作。

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普通の速さで、歌うように

折角なので、今回はfeaturing マルグリット・デュラス
当ブログでも結構登場しているので、ざっと振り返っておきます
まずは、こちら
ジャン・コクトーとのカプリングでなかなかスリリングなバトルとなりました
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アガタ/声 光文社古典新訳文庫
お互いに記憶の深層から紡ぎ出した欲望の言葉で、“近親相姦”を語る兄と妹(『アガタ』)。不在の男を相手に、女が電話越しに“別れ話”をひたすら語る(『声』)。男と女、すれ違う言葉と想い…。対話と独白の、抑制された動きと「語り」の濃密さが、鮮烈な印象を与える、一幕もの傑作2篇。

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アガタ/声

そして、こちらは割と最近、44年ぶりの新訳決定版でした
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ヒロシマ・モナムール 河出書房新社(単行本)
フクシマ後の今こそ読みたいヒロシマと愛の物語
恐ろしさを恐ろしさを通して描出することはやめておこう、そうではなく、恐ろしさを灰のなかから甦らせるのだ。それも、恐ろしさをひとつの愛のなかに刻みこむことによって…

なお、この原作に基づき撮られた映画(アラン・レネ監督)にも、『二十四時間の情事』という(やっぱり)とてもダサダサな邦題が付されていました

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ヒロシマ・モナムール
ヒロシマ・モナムール 2nd edition

こちらは、記事では未紹介
デュラスが流行作家になる前の自伝的作品です(作家が書くものはすべてが自伝だという説もあります)
日本では、河出文庫でも出ていますが、そのはるか前にハヤカワNV文庫でも出ていました
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ジブラルタルの水夫 ハヤカワNV文庫

そして…
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破壊しに、と彼女は言う 河出文庫
狂人たちが集うホテルの一室を舞台に四人の登場人物が繰り広げる言葉の極限状況。やがて明らかにされる放浪の民の悲劇、十八歳の少女の内に秘められた凶暴な野性の目覚め……
『破壊しに』には十通りの読みかたがある」とデュラス自身が語るように、本書は小説とも戯曲とも映像作品ともつかぬ、一種異様な昂りに満ちた破壊と無秩序への呼びかけである。

マックス・トルは、別の肱掛椅子で体を伸ばす。彼はアリサを指示す。
「彼女は休んでるんだよ」とシュタインが言う。
「うん。かわいいやつだ」
「うん」
マックス・トルは煙草を一本シュタインに差し出す。シュタインがそれを取る。彼らは小声でしゃべる。
「ひょっとしたら、あの人物はそっとしとくべきだったかもしれないね?」とマックス・トルが言う、「エリザベート・アリオーヌという人間は?」
「それだって違いはありゃしないさ」
沈黙。
「どんな可能性があったかな?」
シュタインは答えない。
「欲望かな?」とマックス・トルが訊く、「欲望による摩滅か?」
「そうだ、きみの欲望によるところのね」
沈黙。
「さもなければ、アリサに殺されるかだ」とシュタインが言う。
沈黙。
シュタインは微笑する。
「もうぼくたちには選択の自由はない」と彼は言う。 
沈黙。

一切の虚飾を排した結果、芝居のト書きのようなテキストが延々と続くデュラス流アンチ・ロマン(反小説)
それでも終盤は途轍もない惨劇が起こるのではないかと緊迫しますが、結局予兆だけで終わってしまう
その代わり、フィナーレは森(物語の恐怖の源泉)から突如湧き起こる壮大な謎の「音楽」
木立を粉砕し、壁を押し潰しながら迫って来ますが、この「音楽」はデュラスの「上演のためのノート」によると、ヨハン=セバスティアン・バッハの“フーガの技法”の第15番のフーガだとか

今日の1曲
でも、私にはこの曲の間奏部分に聞こえました
A Day In The Life 「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」/ The Beatles
認めたくはないのですが、愛は一種の「破壊」です…


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サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(2CD)
購入するのは、もちろんスーパー・デラックス・エディション(4CD+DVD+BD) ですが、金欠のためしばらく自粛です(笑)


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